学士論文概要

2005年度 学士論文 (東京工業大学工学部開発システム工学科)

高橋千佳: 重力探査を用いた新潟県中越地震被害地域における深部地盤構造の推定

2004年10月23日に発生した新潟県中越地震はマグニチュード6.8を記録し,特に 震源近傍に位置する小千谷市と川口町では甚大な被害が生じた。 この新潟県中越地方は活褶曲地帯であるため,地盤構造が非常に複雑であるとい う特色を持つ。 そのため,地震動の再現などを行う場合には詳細な地盤構造に関する情報が不可 欠である。 しかし,中越地方における地盤構造データの蓄積は今だ十分な状況にあるとはい えない。 そこで本研究では重力探査を用いた地盤構造探査を行い,深部地盤構造の推定を 行なった。

2004年度 学士論文 (東京工業大学工学部土木工学科)

山口沙織: 微動と重力を用いた静岡県清水港周辺における深部基盤構造の推定

静岡市清水港周辺は、近く発生が予想されている東海地震の予想震源近傍で あり、地震防災対策強化地域に指定されている。地区防災対策の充実が望まれ、地震 被害を予測する必要がありながら、清水地区ではこれまで地盤構造について十分な議論 はなされていなかった。そこで本研究では、地震災害が発生した場合の影響を 検討するための第一歩として、微動および重力の観測を実施した。得られ た記録からそれぞれ解析を行い、それらを併せて詳細な地盤構造モデルを構築 する。

高村早織: 一般市民向け地震防災教育用web教材の開発と学習効果の評価に関する基礎的研究

1995年に発生した阪神・淡路大震災以降、個人や地域の防災体制を強化するた めに地震防災教育の必要性がいっそう注目されるようになった。しかし、地震防 災教育を実施する上で、地震防災教育の目的や必要性が認識されにくい、地震防 災教育の機会を作ることが難しいなど課題は多く、特に18歳以上の一般市民を対象と する教育の状況は決して良いと は言えないものである。そこで本研究ではこれらの人々を対象とした生活の中に 取り入れやすい地震防災教 育のための自習用web教材を開発し今後の改善のための簡易的な評価を行った。

2003年度 学士論文 (東京工業大学工学部土木工学科)

坂井公俊: 重力探査を用いた姉川地震の被害地域における深部基盤構造の推定

1909年に発生した姉川地震では,非常に狭い地域内でも被害が大きく異なってい るという特徴があった。 その要因として地盤構造の影響が予想されるが,これまで地盤構造について十分 な議論がなされていなかった。 そこで本研究では,姉川地震の全貌を解明するための第一歩として地震の被害地 域周辺で重力探査を行った。 そして得られた重力値から,地盤構造を基盤と堆積層の二層構造であると仮定し て三次元基盤構造を推定し,実際の被害地域との比較・検討を行った。

2001年度 学士論文 (東京工業大学工学部土木工学科)

大西順一郎: 入力波形の位相特性に基づく1自由度系の最大変位応答の確率論的 特性の推定に関する研究

隣り合うフーリエ位相の差である位相差分分布と時刻歴波形の包絡形と 類似性があることは,よく知られている。 また,フーリエ位相の振動数軸に対する傾きである群遅延時間スぺクトル の平均値は時刻歴波形の重心位置と,そのばらつきは継続時間と密接に関 係していることが示されている。 そのため,位相スペクトルそのものよりも群遅延時間を用いる方が波形の 非定常的な性質を把握しやすい。

本研究では,位相特性の影響を大きく受けると考えられる非定常時系列波形によっ て駆動される1自由度系の応答変位の最大値と群遅延時間の関係について確率論 的観点から考察する。 その結果,群遅延時間スペクトルの特性値と最大値の間にはある一定の関係が見 られることがわかった。 このことは,応答スペクトルのような最大値に依存する量を振動数領域から直接 予測するための有用な情報を与えるものと期待される。

田崎伸一郎: 微動の2点同時観測を用いたラブ波の位相速度の推定法に関す る研究

2点同時観測を繰り返し行ない,空間自己相関法を用いることで,Rayleigh波の 位相速度を推定する手法についてはその有効性がある程度確かめられている。 また,多点同時観測において上下動,水平2成分の3成分を観測し,空間自己相関 法を適用することで,Love波の位相速度も併せて推定する手法も知られている。

本研究では,3成分の2点同時観測を繰り返すことによりRayleigh波だけでなく, Love波の位相速度も推定することを試みる。 Love波の位相速度を援用することにより,地盤構造の推定精度を高めることがで き,かつ,2点同時観測のみでよいことから手間のかかる3成分多点観測をしなく てよいという点でも実用的な手法であるといえる。

実際の観測データを用いて検討した結果,比較的長周期成分については,ある程 度の有効性を確認することができた。

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