2016年熊本地震調査速報(秋津川周辺の被害)

1. 秋津川北岸地域の住宅街

九州自動車道が秋津川を渡るあたりの地域では木造家屋の被害が多く見られました。熊本市東区沼山津から秋津川ぞいに東へ益城町広崎,福富などの住宅街です。秋津川の300mほど北側を平行に走る県道28号線から秋津川(南側)へ向かって地形が少し低くなっています。県道28号線の北側にある沼山津神社を含む熊本市東区桜木は少し高台になっていて被害も秋津川沿いに比べて少ないように見えました。ただし,桜木地区は沼山津に比べて古い住宅の数はずっと少なく,構造物の違いが被害の違いとなったのかもしれませんが,桜木の人は秋津川ぞいは地盤が悪いということが昔から言われていた,というような話をされていました。沼山津神社は鳥居が倒壊するなどの被害を受けていました。

いずれの地区においても,新しく建てられたと思われる住宅については,無被害ではないにしても倒壊にいたっているものはなく,被害は古い木造住宅に集中していました。

a. 益城町福富

fukutomi_1 fukutomi_2 fukutomi_3 fukutomi_4 fukutomi_5 fukutomi_6

b. 熊本市東区沼山津

numayazu_1 numayazu_2 numayazu_3 numayazu_4 numayazu_5

c. 熊本市東区桜木

sakuragi_1 sakuragi_2 sakuragi_3 sakuragi_4

2. 秋津川の堤防と秋津川を渡る橋

堤防が大きく壊れて道路が通れなくなっていたり,しばしば地震の際に見られるように橋のアバットメントの裏込土の崩落で道路と橋の間に大きな段差ができていました。秋津川を渡る橋の多くで自動車の通行ができなくなったため,南北の通行に大きな支障が生じていました。小さな橋には住民が瓦礫をはさんで段差を少なくして無理やり渡っているような場所も多くありました。14日の地震後には通れた橋も16日の地震で通れなくなったところも多かったということです。

a. 上沼山津橋

RC造の3径間の単純桁橋ですが,真ん中の桁が西に少しずれていました。それにともなって,真ん中の桁の南端のコンクリートの被りが少しはがれかけています。橋の北詰では大きな段差ができていました。橋に平行して水道橋(たぶん)が渡っていますが,その固定部分のボルトが壊れていました。ただし,あまりメンテナンスがされていなかったようなので地震前からボルトの状態が悪かったことも考えられます。周辺の地盤は大きな地割れが見られました。
kami-numayazu-b_1 kami-numayazu-b_2 kami-numayazu-b_3 kami-numayazu-b_4

b. 九州自動車道の西側の橋(橋梁名不詳)

大きな段差ができていますが,この周辺ではなんとか自動車が通過できるのはこの橋だけでしたので,多くの人が無理やり通っていました。
akitsu_e_1

c. 九州自動車道の東側の橋(橋梁名不詳)

この橋も北詰,南詰ともに大きな段差ができていました。
akitsu_e_3 akitsu_e_2

d. 九州自動車道をはさむ秋津川沿いの堤防

akitsu_e_5 akitsu_e_6 akitsu_e_7 akitsu_e_4

e. 九州自動車道の秋津川を渡る橋梁

橋梁の南詰の橋脚の上部が剥落しています。沓の損傷はあまりはっきりしませんが,沓といっしょに桁が動いて橋脚のコンクリートを壊してしまったように見えます。
9shu_akitsu_1 9shu_akitsu_2 9shu_akitsu_3

また,秋津川の北岸のすぐ北側に用水路のような細い水路がありますが,その水路に沿って,九州自動車道の南行き車線の盛土が大きく崩落しています。写真で見ると何が起こっているのかほとんどわかりませんが,1枚目の写真でわかるように,東側に水路があって,盛土が大きく水路側にはらみだしています。また,2枚目の写真にあるように,アバットメントに残っている土の跡からもともとの盛土の高さが想像されます。また,アバットメントのコンクリートの被りも剥落しているのがわかります。盛土の崩落地点より秋津川側(南側)の橋脚が非常に大きくゆすられた様子もうかがえ,沓が壊れて桁の位置がずれています。
9shu_akitsu_4 9shu_akitsu_5 9shu_akitsu_6 9shu_akitsu_7

3. 秋津川の南の九州自動車道の高架橋

桁が北側へ大きく移動していて,それにともなって,沓が破損しています。特に,桁の切れ目部分では橋脚の橋軸方向の幅いっぱいまで沓が移動していて,落橋寸前であるようにみえます。桁をつないでいる添接板のボルトが全部飛んでしまっているものも少なくありません。沓の破壊形態はさまざまです。
9shu_akitsu_10 9shu_akitsu_12 9shu_akitsu_11 9shu_akitsu_15 9shu_akitsu_13 9shu_akitsu_14

4. 九州自動車道の木山川を渡る橋梁および木山川両岸の高架橋

木山川の北側の高架橋においても桁が北側に大きく移動しています。沓や添接板のボルトが地面に散乱しています。木山川北詰では盛土が大きく動いていて橋脚と地面の間に大きな隙間ができています。また,落橋防止装置が桁とぶつかって壊れています。
9shu_kiyama_1 9shu_kiyama_2 9shu_kiyama_3 9shu_kiyama_4

一方,木山川の南側では,北側と同じように添接板のボルトが飛んでいるのは同様ですが,桁は沓を踏み外して西側に移動しています。そのため,高架橋を遠望すると桁の部分がまっすぐではなく凸凹して見えます。また,木山川の中に立つ橋脚が少し北側へ傾いているようにも見えたのですが,直接,傾斜角を測ることができないので単なる目の錯覚かもしれません。
9shu_kiyama_5 9shu_kiyama_6 9shu_kiyama_7 9shu_kiyama_8

次へ(益城町)
目次へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です