最近出会った学生さんのことなど

盛川 仁

学生実験を担当して驚いた。 副尺を読めない学生,レンチを知らない学生,半田付けをしたことのない学生, ガスバーナーの上に顔を突き出して点火する学生,等々,挙げればきりがない程 いろいろな学生に出会うからである。 ここに挙げた行為は,いずれも一度経験しさえすれば身につくことばかりである。 それにもかかわらず,少なからぬ学生がこれらを全く経験せずに大学に入って くるのである。 半田付けの仕方を伝授することが,大学における高等教育であろうはずがない。 が,それをせざるをえないのが現状である。

土木という分野に目を向けると,ある種の判断を伴う状況下では, 理論だけではなくどのような経験を積んでいるかということが重要となる。 経験を積み重ねていくためには,通常,知識に対する貪欲さと, それを実現するための努力が不可欠である。 冒頭に挙げた学生の多くがこの努力を惜しんだのではないか,と思わせるのである。 つまり,半田付けができないことはその結果にすぎないのではないか。 従って,今後の教育の根幹となすべきは,物事に対する貪欲さを身につけさせる ことに尽きると考える。

大学では高校以前の教育の場と異なり,研究室における種々の活動を通して 少人数を対象とした研究・教育が行われているものの, 学生にとっては大学生活の中の短い期間に限られている。 物事に対する貪欲さは,「学生の興味をそそる授業」によってではなく, 自ら手を動かして考える機会を数多く経ることによって育まれるものである。 よって,土木でも学部の早い時期から継続的に実験や演習を行い, これを実現することが重要である。 しかしその一方で,これには極めて多くの時間と忍耐が必要となろう。 学生はもとより,教官がそれに耐えうるか, が今後の教育の成否と土木の未来を握っているのではなかろうか。

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